変形性関節症を理解する

科学的研究は、変形性膝関節症をよりよく理解するのに役立っています。

45 歳以上の人に見られる持続性の膝の痛みは、しばしば変形性膝関節症と呼ばれます。
変形性膝関節症は膝関節全体に影響を及ぼします。膝の軟骨、骨、靭帯、筋肉に変化が生じることがあります。通常の日常活動は、以前よりも難しく感じることがあります。膝の痛みやこわばりはよくあることです。

変形性膝関節症についての情報には正しくない情報もみられます。不正確な情報は、ほとんどが時代遅れのものか、すでに古い情報です。変形性膝関節症の痛みは、「骨と骨の接触」による膝関節の「摩耗」であると考えられていました。新しい研究は変形性膝関節症をよりよく理解するのに役立っており、現在ではこのことが真実ではないことが明らかにされています。実際、私たちはまったく逆のことが真実であると考えています。変形性膝関節症の痛みは、関節が自ら修復しようと一生懸命働くことによって引き起こされている可能性が高いと考えられています。

私たちは以下のような理由から変形性膝関節症の痛みは「摩耗」あるいは「骨と骨の接触」によるものではないと考えています。

膝の レントゲン画像は、膝の症状を示すものではありません。

多くの場合、人の膝のレントゲン画像は症状と一致しません。レントゲン画像上で関節に多くの変化が見られることがありますが、痛みはほとんどないか、まったくない場合があります。ひどい痛みを感じる場合もありますが、レントゲン画像の変化は必ずしも痛みを説明するものではありません。レントゲン画像で見た膝の状態は、膝の痛みの強さと必ずしも一致しないことがわかっています。これが、痛みを伴う変形性膝関節症の診断や管理にレントゲン撮影が推奨されなくなった理由です。

痛みは毎日変化します。しかし骨や軟骨の状態は毎日変化するものではありません。

今日撮影したレントゲンは、昨日のレントゲンや先週のレントゲンと同じように見えます。対照的に、変形性膝関節症の人は痛みが日々、あるいは時間ごとに変化することを経験しています。繰り返しますが、これは痛みとレントゲンで撮影した関節の状態の間に不一致があることを示しています。

全員、症状が悪化するわけではありません。

実際、時間の経過とともに症状が悪化するのは約3分の1の人だけです。ほとんどの人は安定しています。状態が悪いときも良い時もありますが、悪化し続けることはありません。時間がたてば状態が良くなる方もいます。膝が「すり減る」のを防ぐために、ウォーキングなどの運動を避けるのは正しくありません。ウォーキングやその他の運動は、時間の経過とともに痛みを軽減し、膝を健康に保つための良い方法です。

症状は動くことで改善します。

朝、膝が硬くなっているのに、動き出すと緩んでいることに気付いたことがあるかもしれません。動くことは関節の潤滑油のような働きをします。「使わなければダメになる」という考え方は、膝にも当てはまります。あなたは意図的にあなたの体と膝を使う必要があります。散歩、ダンス、ゴルフ、庭仕事などの活動が膝をできるだけ健康に保つのに役立ちます。

参考文献
・Bastick, A. N., Belo, J. N., Runhaar, J., & Bierma-Zeinstra, S. M. (2015). What Are the Prognostic Factors for Radiographic Progression of Knee Osteoarthritis? A Meta-analysis. Clin Orthop Relat Res, 473(9), 2969-2989.
・Bannuru RR, Osani MC, Vaysbrot EE, et al. (2019). OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage, 27(11):1578-89.

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